テロ・武力・暴力では何も解決できない
平和の祭典、記念すべきアテネオリンピックが閉幕したのもつかの間の9月1日、ロシア南部北オセチア共和国で「学校人質事件」が発生した。多くの子供たちを含む約500人以上が死者・行方不明者となったテロ事件だ。
被害者の多い少ないは別として、これらテロについては、激しい戦慄とやり場のない憤りを感じざるを得ない。
丁度一週間前の8月25日にも、ロシアの「2旅客機墜落事件」、「地下鉄爆破事件」、またイラク各地でも止まることのない戦闘やテロが続き、イスラエルとパレスチナの衝突等、過去においても数え出したらきりがない。
テロ・武力・暴力では何も解決できないことは明確なのに、依然として同じことが繰り返されている。
2年前の10月に起きた「モスクワ劇場占拠事件」や「バリ島爆弾テロ事件」のあった直後に別のサイトで掲載したものを、以下に転載します。
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国際的にテロ事件が多発している。10月に入って報道されているだけで、16件のテロまたはテロの疑いのある事件が発生している。
また、一般的には「テロ」とは呼ばれていないが、イスラエル軍のパレスチナ攻撃やロシア軍のチェチェン侵攻、そして1年間以上も続いている米国のアフガニスタン空爆、そしてこれから行われるであろうイラク攻撃、そのほかにも、米国のワシントン近辺で起きた無差別連続狙撃事件、そして先週末の民主党国会議員の刺殺事件等、武力行使や暴力事件も絶えない。
多くの死傷者を出した、2週間前の「バリ島爆弾テロ事件」、先週の「モスクワ劇場占拠事件」も、テロにより政治的な問題を解決しようとする武装勢力によるものだ。当然のことだが、これらのテロ行為は決して許されることではない。
しかし、彼らがテロ行為に至った根本的な問題を解決することなく武力により押さえつけようとしても決して解決はできない。「モスクワ劇場占拠事件」では、夫や兄弟をロシア軍に殺され、復讐のために死を覚悟して占拠に加わったという女性もいるという。イスラエルとパレスチナの問題、アフガニスタン問題、イラク問題も全く同様である。
10月初めに発表された、米国のある大学教授の調査によると、米国のアフガニスタン空爆による民間人の死者は3000人を越えているという。米政府が今年4月に発表した、昨年9月の同時多発テロの死者は3057人ということだが、米国もまた罪のない多くの人々を犠牲にしているのである。米国の行っている武力攻撃も絶対に許せることではない。
米国が中心となり国連を巻き込み強力に推し進めている「北朝鮮やイラクの核査察問題」についても、米国自身が既に核を持ち、定期的に核実験を行っているにもかかわらず、核を開発・保持するなという論理もおかしい。「自分も一切保持しないから、あなたも保持しないでくれ」というのが、道理であり、普通の人間の考え方である。
我々日本人も知らず知らずのうちに、米国のこの不条理な軍事行動や道理の通らない行為に間接的に加担してしまっているとも言える。
今世界中で起きているこのテロ・武力・暴力行為に、我々日本国民は、もっと感心を持つべきだ。そして一方向からだけの論理に迎合するのではなく、その根底に流れる問題を平和的手段によって解決していくべきことを強く認識し、行動していくべきではないか。
マスコミのひとつの役割として、北朝鮮の拉致問題だけを当人達の迷惑や立場も考えずに執拗に報道するだけではなく、また国際社会での出来事を「対岸の火事」的に報道するだけではなく、これらテロ・武力・暴力の絶滅に対して、全世界的な視野に立ち、より踏み込み、国民を巻き込む一大キャンペーンを繰り広げる原動力づくりをしていくことだ。そして武力によって解決をはかろうとしている国々や集団に圧力をかけていくべきではないかと思う。
テロや武力・暴力では何も解決できないことは今までの歴史が証明している。それらによって紛争を解決しようとする姿勢がどうしても許せないのだ。(021027)
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